チェンソーマンのナユタとは何者か。マキマの「生まれ変わり」を考察

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第二部から入った人が、まず気になる「あの子」

『チェンソーマン』第二部を読み始めた人が、最初に「ん?」と引っかかるキャラがいます。

デンジと一緒に暮らしている、小さな女の子。名前は ナユタ

第二部の主役は三鷹アサ。でも、デンジの家にいるナユタは明らかに重要そうで、しかも第一部から続けて読んでいる人にとっては衝撃のキャラなんです。

この記事では、

  • ナユタの正体(なぜ第一部の最後に、彼女がデンジのもとへやってきたのか)
  • マキマとの関係と、決定的な違い
  • ナユタが第二部で背負っているもの

を、原作描写から丁寧に整理していきます。第一部のラストの意味を読み解く鍵として、ナユタはたぶんいちばん大事なキャラです。

ナユタの正体:転生した「支配の悪魔」

ナユタは、マキマと同じ 支配の悪魔 です。

『チェンソーマン』の世界では、悪魔は地獄と現世を循環しています。現世で死んでも地獄に戻り、また現世に生まれ直す存在です。ただし、転生する際には前世の記憶を失い、別個体として生まれてきます。

マキマが第一部の最後でデンジに敗れたあと、「支配の悪魔」は別の体を得てこの世に生まれ直しました。その子どもがナユタです。

つまりナユタは、マキマの記憶を引き継いだ存在ではなく、マキマと同じ悪魔の枠組みを持ちながら、まっさらな状態で生まれ直した別個体。ここがとても大事なポイントです。

名前の元ネタは短編『予言のナユタ』?

ちなみに藤本タツキ作品には、もう一人「ナユタ」というキャラが存在します。

『藤本タツキ短編集 22-26』に収録されている読み切り『予言のナユタ』に登場する、少女ナユタです。

二人が同一存在かどうかは原作で明言されていません。ただ、藤本タツキが過去作の名前をわざわざ再利用している点には、何かしらの意図があると考えるファンも多いです。意図的につながりを匂わせているのか、たまたまなのか ── 想像が膨らむポイントです。

マキマとの決定的な違い ── 愛されて育つということ

ナユタを語るうえで欠かせないのが、「マキマとの対比」です。

同じ「支配の悪魔」なのに、なぜマキマとナユタはこんなにも違う存在として描かれるのか。理由は、置かれた環境 にあります。

マキマの場合

マキマは内閣府直属のデビルハンターとして、人間社会の上層で力を振るう存在でした。彼女が抱えていたのは「孤独」── 自分の能力ゆえに、誰とも対等な関係を築けない悲しみです。

恐怖の力で他者を支配することでしか繋がりを得られなかったマキマは、最後まで「対等な誰か」に手が届かないまま、デンジによって料理されて食べられる ── そんな結末を迎えます。

ナユタの場合

一方、ナユタは生まれ直しの段階から「デンジに大切にされる子ども」として日々を過ごしています。

マキマがどれだけ求めても得られなかった「対等な誰か」「家族のような温度」を、ナユタは最初から与えられている。これは藤本タツキが第一部のラストで提示した、最大級のテーマの反転です。

「同じ悪魔でも、誰にどう育てられるかで存在のあり方が変わる」── これは『チェンソーマン』全体に流れる、人間/悪魔観の核心でもあります。

デンジが選んだ「家族」 ── 第一部の結末が意味するもの

第一部のラスト、マキマを食べたデンジのもとに、岸辺が小さな少女を連れて現れます。

岸辺は中国でこの少女 ── 転生した支配の悪魔 ── を見つけ出していました。彼女が再び国家の手で育てられれば、第二のマキマが生まれて世界がまた地獄になる。岸辺はそう考え、デンジにこの子を託す道を選びます。

もう一つ、見逃せないのがポチタの願いです。第一部のラストで、ポチタはデンジに「支配の悪魔の夢を叶えてあげてほしい」と語りかけます。誰にも愛されないまま、孤独に支配し続けるしかなかった存在に、たくさん抱きしめてもらえる未来を ──。

岸辺の判断と、ポチタの願いと、それを受け入れたデンジ。この三つが重なって、ナユタは「過去(マキマ)の続き」であると同時に「自分が新しく作る未来」として、デンジの腕の中に収まりました。

第一部の終わり方として、これ以上ない美しい着地点だと思いませんか?

第二部でのナユタ ── 子どもとして、悪魔として

第二部に入ってからのナユタは、デンジのもとで小学生として暮らしています。デンジ曰く「友達みてーな、妹みてえなヤツ」── 関係は判然としないまま、それでも一緒に犬たちと暮らす日々が描かれます。

ただし、見た目は子どもでも中身は「支配の悪魔」。アサ(戦争の悪魔ヨルと体を共有する高校生)との関わりの中で、ナユタは 支配の悪魔としての本性をすでにのぞかせています。アサとヨルを「泥棒」と呼んで支配下に置く場面など、子どもの顔の奥に潜む力が、たびたび顔を出すのです。

物語が進むほど、ナユタが「何を考え、どこに向かおうとしているのか」が第二部の重要な鍵になっていきます。

特に、

  • ナユタとデンジの「家族関係」がどこまで保たれるのか
  • 支配の悪魔としての力が、どこまで物語を動かすのか
  • アサとの関係が、敵対するのか、共闘するのか

このあたりは、第二部の今後を占ううえで最大の見どころのひとつです。

まとめ

ナユタは、ただの「デンジの妹分」ではなく、『チェンソーマン』全体のテーマを背負ったキャラクターです。

要点をまとめると、

  • ナユタの正体は、マキマと同じ「支配の悪魔」が記憶を持たないまま生まれ直した転生体
  • マキマと違って、デンジに大切にされて育つ環境を最初から与えられている
  • 第一部のラストでデンジが選んだ「家族」の象徴として登場した
  • 第二部では子どもの姿で物語に関わりつつ、支配の悪魔としての本性も少しずつ顔を出している

第一部を読んだあとに第二部のナユタを見ると、藤本タツキが第一部から続けて描こうとしているテーマがはっきり見えてきます。

「悪魔を救うとは、どういうことか」── その答えのひとつが、ナユタという少女に託されています。

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出典・参考

  • 藤本タツキ『チェンソーマン』集英社ジャンプコミックス
  • 藤本タツキ『藤本タツキ短編集 22-26』集英社(読み切り『予言のナユタ』収録)

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